2015年6月2日火曜日

エピローグのエピローグ

今回から引用を多用するので引用部分は斜体表記する。

どうしてこうなるんだろう…
初めて、好きな人ができた。
一生ものの友達ができた。
嬉しい事が二つ重なって。
その二つの嬉しさが、
また、たくさんの嬉しさを連れてきてくれて
夢のように幸せな時間を手に入れたはずなのに…
なのに、どうして、こうなっちゃうんだろう…

というアニメーションからスタートする本作は既に
introductory chapter(以下ic)が悲しい結末に終わることを暗示している。

本作は時系列で言うとicの最後にあたる部分を少しだけ切り取った
所から話がはじまる。
抽象的ではあるが

三人から二人が抜けだしてしまった日
二人から一人が去り、
一人と一人が残されてしまった日

と物語の大筋が予想できる表現を使っている。

いつも、俺たちの分岐点に現れて、
辛いこと、哀しいことを覆い隠すように、
雪が、降り積もる。

と隠喩である雪の存在をガッツリ解説されているわけだが、
この通り、2では物語の核心部分で雪が降る表現がなされる。
この演出こそ本作が2ファンに雪をトラウマにする所以なのだ。

一度、最低の裏切りをしてしまった相手だから。
もう、ずっと最低を貫かなくちゃいけないから。

この春希の誠実を履き違えたエゴこそが2の人間事情を
より複雑にしていく。

雪は、覆い隠してくれる。
辛いこと、哀しいこと。
そして、見たくもない真実を。
ただ白く、綺麗なだけの世界を目の前に広げ、
俺たちを、そこに置き去りにしてくれる。
……
けれど所詮は雪は雪であり。
一度解けたら、そうやって隠していた事実を、
忘れていた想いを、もう一度白日の下にさらす。

さて、要所で雪が降るとは言ったが、春希は雪の降る日に決まって誰かを裏切り、最低のあるいは狂った行為に走ってしまう。
ただその後に待ち受けるのは厳しい現実のみである。
その物語の大筋とも言える部分が実はここにデカデカと書かれているのだ。
これこそ二周目で味わえる作者からのプレゼントである。

以下ネタバレ含む為反転

開始
特に私が思い出したのは最終章codaのかずさ浮気エンドだ。
これは春希が雪に目が眩む中、いつもは本能的なかずさだけが現実に気づくエンドで、春希が雪にどれだけ弱いかがわかる話であるとともにかずさの成長が見れて好きなエンドだった。
終了

ic自体が2のエピローグみたいなものだが、そのエピローグでこれだけ書くことがあった。
作者としても深い位置付けをしているものだから筆が進んだと信じたい。
というかこのテキスト量にこの分量で考察を乗っけては何千時間掛かるかわからない。



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