2015年6月6日土曜日

春希と雪菜の二度目の出会い

前回記事に書くのを忘れていたが、かずさのピアノ曲の曲名は
kapell様著「ホワイトアルバム2 ピアノ使用曲リスト・解説・考察」
から引用させてもらっています。

それと丸戸丸戸言ってますが、丸戸史明というのはWHITE ALBUM2のストーリーの原作者です。
ストッキングが大好きなおじさんです。

ではここから記事がスタート

文化祭体育館ステージのプログラムを組む春希

10:00 演劇部『雨月山の鬼』

にフフッとなる二周目だ。

…冬馬さん
あなた最近、ちょっと集中力に欠けるところがあるわね。
やっぱり普通…

という先生の説教台詞、かずさが強制中断しているが、この「普通…」というところ
あとあと重要になる設定の伏線である。

この時かずさは音読のページがわからないと言ったが、春希の番になるとこっそり教えてくれる。
もちろんかずさが授業など集中しているはずもないわけで、この時教科書を追っていたというのは
作業熱心なお隣さんの為と考えたいところ。

春希がかずさのことを気にかけている描写はもちろんあるが、その逆も散らしているのが
丸戸の上手いところだ。

さてこの場面転換の曲は
ドビュッシー『ベルガマスク組曲』第4曲『パスピエ』という曲だ。

ここに来て、新軽音楽同好会結成の一曲、「WHITE ALBUM」の合奏が始まる。
ピアノ君が乗っかってくれたところで上からなぜかボーカルの声が、
ここで春希は居ても立ってもいられず屋上へ飛び出す。

私はここでかずさの心情を考えたい。
かずさからすれば春希のギターに合わせて気持よく弾いていたWHITE ALBUMに
見ず知らずの女のボーカルが乗っかり、あろうことか弾き終わる前に春希がギターを投げ出してしまう。
かずさからすれば泥棒猫に春希を盗られた気分だったに違いない。

春希は鍵が締まっててピアニストを確認できないと言っていたが、本当に知りたければ
待ちぶせをすればすぐわかることであり、春希はそれをしなかった。
それなのに雪菜の方へはすぐに行ってしまったわけだからかずさが嫉妬の炎に抱かれていた
ことはほぼ間違いないだろう。

ここで堂々の名曲、堂々のOP

届かない恋

ここで軽音楽同好会のボーカルに雪菜を誘おうとする春希だが、
雪菜からコンテンストという単語を聞き、雪菜が元々目立つのを嫌がっていたことを
思い出し、一度声を掛けるのをやめようとしてしまう。

それでも雪菜をボーカルにすることを、軽音楽同好会として発表すること、
「秘密の計画」を実行することを諦められなかった春希は雪菜を誘ってしまう……



コラム「エロゲの世界を捉えるということ」

ここで少し本筋からそれた話をしたい。
ギャルゲーエロゲと言えば、主人公の声はついていないものが多い。
ギャルゲー経験の浅い人間の拙い考えであるが、主人公はあまり他人との関わりが上手くなかったり、何かしらに対して深い意欲のない、没個性気味のキャラクターが多いように思う。
もしかしたらこれはプレイヤーが感情移入しやすくするための配慮なのかもしれない。

しかし、2はどうだろう。
北原春希にはしっかりとボイスが付き、作中イラストとして顔がしっかり描かれることもあり、
皆に慕われる委員長キャラであり、好きな女の子を追いかけるそれはもう濃いキャラクターとして描かれている。

これではスッと感情移入することは難しく、「気づいたらヒロインが彼女のように思えた。」などということも私は感じることはなかった。
もちろん登場人物の立場に立って心情を捉えることはするが、それは主人公だからというわけではなく、すべてのキャラに同じくらい行っているものだから特別ではない。

何度もいうが主人公、北原春希は一人のキャラクターとして確実に独立した存在だ。

ここから私はこの作品を自己の投影としてプレイするのではなく、神様になって世界を俯瞰するようにプレイするのがより作者の求める方法なのかなと思った。

ちなみに丸戸の別のゲーム「世界で一番NGな恋」にも主人公の顔、声がついている。

もしかしたら丸戸の作品を決まった視点から見るのではなく作品全体の世界を感じて欲しいという演出から来るシステムなのかもしれない。

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